(1) どこにあるの?

 私たちの住む「落合・鶴牧地区」は多摩ニュータウンの中心、多摩市西部にあり、多摩センター駅の南側に位置する住宅地です。京王線、小田急線、多摩都市モノレールの3本の鉄道が乗り入れ、都心とは40分で直結しています。地域の北と南には東西方向の幹線道路であるニュータウン通りと尾根幹線が通過しています。

多摩ニュータウン土地利用計画図(UR都市機構資料)

(2) 街に込められた思い

 落合・鶴牧地区の計画に際して、これまでのニュータウン計画の均質的な住宅地計画から脱却し、新しい街づくりをめざすことが目標とされました。この目標を実現するため、質の高い空間づくりにより、ここに住む人たちの「共有財産」となる緑地空間を創出することが計画されました。

 地域の歴史や地理的特性を感じさせる公園や緑地空間は「基幹空間」という計画概念で呼ばれています。基幹空間は地区の外側の緑地空間と地域を結び付ける2つの緑の軸と、地区内の南北の緑地軸により構成されています。

 具体的にはリング状に配置された宝野公園、奈良原公園、鶴牧東公園、鶴牧西公園の4つの近隣公園と2つの街区公園、歩行者専用道路や緑地により構成され、多摩よこやまのみちや乞田川、小山田緑地などの地域の外側の緑地とネットワークされています。

 宝野公園と奈良原公園を結ぶ東西軸は、延長上に富士山を望む富士見通りと呼ばれ、通称千本桜といわれる桜並木が形づくられ、地域のシンボル空間となっています。

空から見た落合・鶴牧地区(S62 撮影、資料:UR都市機構)

(3) どんな街なの?

 多摩センター駅の南側は多摩ニュータウンの中心となる商業業務地を形成し、大規模商業施設やパルテノン多摩(文化施設)、官公庁施設、民間業務ビルなどが集積しています。駅から中央公園にかけて幅40mの歩行者専用道路(パルテノン大通り)が整備され、地形を利用した人工地盤により完全な歩車分離が実現されています。

 南部は集合住宅を主体とした住宅地で、小中学校や保育施設、コミュニティセンターなどの公益施設が整備されているほか、近隣センターにはスーパーマーケットや郵便局、カフェ、店舗などのほか、デイサービス施設なども立地しています。

 また、公園のファニチュアや街路灯、ベンチなど街を構成する様々な生活空間エレメントに対して質の高いデザインを施し、街の品格を高めています。

(4) 住宅地の特徴は?

基幹空間に囲まれるように、3つのタウンハウスを配置し、その周辺に中層の集合住宅地が基幹空間に沿って配置されています。住宅の屋根はこう配屋根を特徴とし、これまでの団地イメージを一新するニュータウンの美しい住宅地の風景を創出しています。

住戸や住棟も様々なタイプがあり、ゆとりある住棟配置と豊かな共用部の空間とともに、個性的な住宅団地の街並みが創られています。

ゆとりや生活の豊かさを求める時代のニーズの変化に対応して、フリースペース付住宅やメニュー方式の住宅など、様々な試みが行われており、歩行者専用道路に面した部分に賑わいを創出するための「プラス1住宅」を持つ住宅など、ニュータウンの団地づくりのモデルとなる先端的なまちづくりが行われています。

鶴牧東公園からみた落合・鶴牧地区